優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「お前こそ、照れんなよ(笑)」



基槻はニヤニヤと笑いながら、私の頭を撫でた。

…馬鹿…。

もっと、近付きたくなる。

もっと、触れたくなるよ。

私は自分のちょっとヤらしい心を落ち着かせ、「まだかな?」と、訊いた。



「ここから5分じゃん?」



基槻は何事もなかったように、ハンドルを左に切った。

街灯と月に照らされた基槻の横顔は、色っぽさが増して、私の胸を騒がしくする。



「お客さんに…ささ、さ誘われてない…?」



不意に込み上げたヤキモチ。

可愛い人や綺麗な人が多く訪れる、基槻のお店。

和人さんのお店の時は、お水商売の人が多く、社交辞令だとわかってたけど。