重い腰を上げ、さっきから点滅してた携帯を持ち、厨房の奥にあるベランダへと来た。



「遊ちゃん、どうしたの?」



「ちょっと、電話が着てて」



私は調理担当の野村ーノムラーさんに携帯を見せ、ベランダの扉を閉めた。

着信は基槻からだった。



『もしもし』



しばらく鳴らし続けると、基槻が電話に出た。

『急に電話してごめん』と、基槻が先に謝って来た。

今は私が急に繋け直したと言うのに、どうしたんだろう。

不思議に思いながらも、私は『ううん』とだけ返事を返した。

基槻は『あのさ…』と、いつにも増して、おどおどしてるみたいだ。