優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

私は「お兄ちゃんに似て来たのかな?」と、おどけた。

辛くなったとか、悲しくなったとかではなく、綾戸さんに笑って欲しかったんだ。



「来島さんは優しいわね。私を恨まないなんて…」



「恨むわけないですよ?恨むとすれば、オートバイに乗ってた人。だから笑って?」



私は綾戸さんの手を握って微笑んだ。

綾戸さんは「うん」と言いながら、口角を上げた。

「綾戸さん、戻ろうか」と、信子さんがレクルームに連れて行く。

私は菜月ちゃんを手伝ってた博美ちゃんに笑い掛け、仕事を再開。

おやつの前までに仕事を何とか終わらせて、レク室に走り、体操の準備。

椅子に座ったままで出来る体操の映像をテレビに写しながら、私も利用者さんの前で実践する。