優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

イジメで中退とか、不登校とかは避けたい。

私が「ごめんなさい」と頭を下げると、深川君が私の頭を撫でた。



「そんな謝んなよ。わかったからさ」



「はい…」



「たださ、頼みがある」



「頼み?」



「そっ。敬語は禁止!後、基槻って呼んで」



「……」



突然のお願いに、私は固まる。

男の人に敬語を使わないとか、お兄ちゃんが初めて。

しかし、彼氏に“深川君”や敬語はおかしいだろう。

手を繋ぐのを断った事もあるし。



だから私は、「わかった!」と、頷いた。



「じゃ、行くか」



「うん」



私は笑いながら頷き、微妙な距離を取りながら歩く。

2人の距離は1m。

誰も疑わないだろう…―
てか、疑わないで欲しい…――。