優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「今日はこの車に利用者さんは5人、乗ります。車椅子の方が2人。方麻痺の方が1人、補助席に座って貰います。後は痴ほう症の方2人なので、この中間の席に。
私は助手席に座りますから、渡部さんは前の補助席で、挨拶をお願いします!」



一通り申し送りを済ませると、渡部さんが「挨拶ですか…?」と、訊いて来た。

一回しか送迎に行ってないから、覚えてないのかも知れない。



「挨拶は助手席から遊ちゃんからでも良くないかな?渡部さんにはそれで挨拶を覚えて貰って、利用者さんとコミュニケーションを取って貰おうよ」



「わかりました!」



私は信子さんの提案に頷き、到着時刻をボードに記入しながら、渡部さんと車を降り、利用者さんを自宅まで迎えに行った。