優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「頑張るから……」



お兄ちゃんが買ってくれた制服で、高校を卒業するよ。

お兄ちゃんが認めてくれた基槻との幸せ、守り抜くよ。

棺から離れ、蓋を閉めて貰った。



「今日は兄の為に、お忙しい中、たくさんの方々にお集まり頂きまして、ありがとうございます…」



和人さんと並んで立ち、参列してくれた人たちへ深く頭を下げる。

空を見上げて涙を堪えると、優しい風が吹く。

祖父母のお葬式の時に、「親族代表の挨拶は、家族として、これは最後の務めなんだ」と、お兄ちゃんが言ってた事を思い出した。

だから私、ちゃんと全うするよ。