優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

でも、誰も何も答えられなかった。

運ばれてからまだ10分が経たない中、処置室のドアが開かれた。



「ご家族の方は?」



医者の問い掛けに、遊が何も言えない状況の為、父親が「父親代理です」と、立ち上がった。



「…そうですか」



「息子は…」



「残念ですが、頭と胸を強く打っておられ、手の施しようがなく…12時24分に、死亡確認をさせて頂きました…」



皮肉にも、12月24日の12時24分に、風君は旅立ってしまった。

俺は顔を両手で覆った遊を引き寄せ、抱き締めた。



「ヤダ…ヤダぁ…っ…!!」



遊は俺の胸を叩きながら泣く。