優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

まぁ、お兄ちゃんは曖昧に頷いてるだけだけど。

大きな交差点。

スーパーの前では風船が配られてるみたいで、子供たちが多い。



「陽も風船、貰うか?」



基槻が屈み、陽ちゃんに訊く。

「ほしー!」とジャンプして喜ぶ陽ちゃん。

私は赤信号を見てから、スーパーを見た。



「あ…」



「危ない――ッ!!」



子供たちの並みに押され、道路に転んでしまったおばあさん。

近付くオートバイ。



「お兄ちゃん――ッ!!!!」



「風くーん――ッ!!!!」


私と基槻はおばあさんに近付いて行くお兄ちゃんに叫んだ。