“詩槻”さんだ。



「誰が“馬鹿コ”じゃいっ!!」



「……どうでも良いから座れ」



「「はい;;」」



言い合いがヒートアップしそうだった刹那、穂波さんが低い声で呟いた。

…さすが元ヤン…;;

基槻もお姉さんも黙った。

私はノソノソと穂波さんから離れ、キッチンで鼻歌を唄ってるお母さんを手伝いに行った。



「遊ちゃん、ピザの具を乗っけてくれる?」



「わかりました!」



私はピザ生地にサラミやピーマンを盛る。



「お母さん…ピザソースは?」



私は辺りを見ながら訊く。



「あ……;;」



その瞬間、お母さんは“しまった”というような顔をした。