優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

―――って、俺のを教えただけじゃねぇか。

…しかも何してんだ?

探してどうすんだよ。

俺は携帯を放り、Tシャツとジャージの下だけを手に取り、一階に降りる。



「あ、もう上がったんだ」



ソファーで陽の髪の毛をドライヤーで乾かす姉貴に声を掛けた。



「空いたけど。それより基槻!
罰ゲームで女の子を振り回すんじゃねぇ!」



でも、声を掛けたのは間違いだったらしい。

電話を聴かれてたらしいし。



「関係ねぇだろ」



俺は姉貴から目を逸らし、会話がちんぷんかんぷんな為か、不思議そうに俺を見ていた陽に微笑み、リビングを出て風呂場へ向かう。

姉貴に“振り回すんじゃねぇ”と言われた時、また遊の顔が浮かんだ。

マジで自分が意味不明に感じた。



―基槻 SIDE END―