優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

遊は未だ口を開かない。



「父さんたちは、ここから出て行かないぞ」



その中で、遊のお父さんは、低い声で呟いた。

風君の手は止まり、遊も固まった。



「申し訳ないが、遊には見合い話もある。風の意見は聞けない」



さっきの遊のお母さんの表情の意味がわかった。



「……は?」



風君は灰皿を消すと、今までにない位、遊が震えるほどの声を発した。

腹の底から出てるような。



「母さん。晩御飯の用意だ」



「そうね。グラタンとパスタ、5人では足りないものね。基槻君も食べて言ってね?」



頷けるわけがない。

見合い話も、納得するわけがない。