「リサ?」


あぁ、あたし泣いてるんだ。


そう思った時にはもう遅く、静かに、でもボロボロと流れる涙の止め方がわからない。


タカはあたしのそれを指で拭い、泣くなよ、と悲しそうに言って口付けをくれた。


愛されたくなくて、でも本当は愛されたくて。


だから自分の感情さえ制御しきれずに、ただ震えるままにその体へと縋りついた。



「リサ。」


もう、タカ以外じゃ埋められない。


他の誰も、何もいらないから。


だから今だけで良いから、お願い、ここにいて。



「泣くなって言ってんのに。」


困ったように笑ったタカを見て、また一粒の涙が零れ落ちた。


シロは不思議そうにこちらに目くばせをした後で、ふにゃあ、と鳴いて擦り寄ってくる。



「ほら、シロもお前のこと心配してる。」


「うん。」


頷くと、今度は乱暴に涙を拭われ、タカは安心させるように笑ってくれた。


心の中に凝り固まっていたものが、泣いた分だけ溶け落ちて、自然と気持ちが楽になれた気がした。


あたしも多分、タカのこと愛してると思うの。


一緒に眠るベッドの中でそう呟いた時、多分って何だよ、と彼はまた笑っていた。


あたしには、こんな小さな幸せだけがあれば十分だよ。


だから今は少しだけ眠らせて。