「17歳、おめでとう」

「ありがとう」

初めて貰った極上のプレゼント。
高価な宝石よりも
高級な食事よりも
どんな素敵な場所よりも

一番は、やっぱり心からの言葉の贈り物。

貴方の笑顔が
貴方の温もりが

私は、嬉しい。

今、あたしは、世界で一番幸せな彼女だね。

2000年3月2日
桃の花に囲まれて
初めて彼と過ごす誕生日。

ちょっぴり、恥ずかしくって
でも、嬉しくて。

ドキドキ、と速まる心臓音。

大好きだよ。



「小雪の夢、教えて」

──夢?
特に考えた事もなかった。
来年受験する大学さえ決めていなかったのに。

でも、拓海に聞かれて夢がないなんて答えられない。

──そうだな。
強いて言えば、お菓子を作る事が大好き♪

うん。


「美味しいケーキをいっぱい作って、街一番のケーキ屋になりたいな


我ながら、思い付きにしては良い夢を浮かべられた気がする。


「叶うと良いな。
 そしたら、俺毎日通ってやるよ」

「えー!?
 甘いの嫌いでしょ?」

「平気。
 小雪の作った物、食えないわけねぇじゃん」

「無理しちゃって」

ニカッ、と笑ってくれた事が嬉しくて、恥ずかしくって、ちょっとだけ意地悪を言ってみた。

けど、敵わないね。

あたしがどんなに背伸びしても、拓海には届かない。

悔しいな。