「ふぅん。じゃあ、姫のファーストキスの相手は俺?」 「うん」 「へぇ。何か気分がいいな」 紫苑はいつの間にか満足そうに微笑んでいた。 気分が良いっていうのは、どういう意味? きっと紫苑にとってその言葉は何の意味も持たない。 深く考えるだけ無駄。 頭では理解できているのに、どうしてかな……。 どうしてその言葉の意味を紫苑の口から聞いてみたいと思ってしまうんだろう。 あたしが考え込んでいると、紫苑の腕があたしの体に回った。 温かい紫苑の胸にギュッと抱きしめられる。