喉元まで出かかったそんな言葉をグッと飲み込む。
「姫、誤解してるよ」
「誤解?」
「そう。俺、女とセックスはするけどデートはしないから。ラブホは別としても、ね」
クスッと笑いながら紫苑は顔にかかったあたしの髪を耳に掛けた。
一瞬だけ耳に触れた紫苑の指先。
紫苑が触れた部分がカーッと熱くなる。
「そういうこと、女の子の前で話すのってどうなの……?」
紫苑のことが好きなあたしの前で話すってどうなの?の間違いかも。
でも、紫苑はあたしの気持ちに気付いていない。
それに多分、あたしのことを何とも思ってない。
だから平気な顔で他の女の子と『セックスする』なんて言えるんだ。



