「ん、呼んだ?」
「えっ……?」
ポンッと肩を叩かれて振り返ると、そこには眠そうな顔をした彼がいた。
どうしてここにいるの……?
髪をクシャクシャとかきあげながら彼は大きく背伸びする。
そんな一連の動きすら、キラキラと輝いている。
悔しいけど、見惚れちゃうほどカッコイイ。
まさか今、本当に会えるなんて……。
何度か瞬きをしてみたけど、これは夢じゃない。
だって、女の子を誘うような甘い匂いが鼻に届いたから。
「あ、あの……相良くん……」
「紫苑」
「えっと、紫苑くん……」
「紫苑」
「……紫苑、どこからきたの?」
突然現れた紫苑にそう尋ねると、彼は「あっち」と屋上の隅を指差した。



