「……んっ……紫苑……っ……」 紫苑のキスは温かくて、優しい。 何もかも包み込んでくれるようなキス。 他の人とキスした経験がないあたしでも分かる。 紫苑はキスが上手い。 もっと、もっと、もっと。 おねだりしなくても、紫苑はちゃんと分かってくれる。 紫苑とキスしている間だけは、嫌なことも何もかも忘れられる。 先生の足音が廊下から聞こえてくるまで、あたしと紫苑は何度も何度もキスをした。