キスフレンド【完】


「姫は彼氏つくる気ないの?」


「……今のところは……ね?」


だって、どんなに願ったって紫苑は彼氏になってくれないもん。


なんだか、紫苑に恋するのって、テレビの中のアイドルに恋する感覚に似てる。


近くにいるように、遠くて。手を伸ばしても、届かない。


紫苑はすぐ目の前にいるのに、なんだかすごくすごく遠い。



「紫苑こそ、彼女つくる気ないの?」


「ないよ。このままがちょうどいい。姫と一緒に補習受けてダラダラすごすこの日常が一番いい」


「紫苑って、インドア派?」


『姫と一緒に』の部分が嬉しすぎて。


くすぐったい気持になって話を反らすと、紫苑はクスッと笑った後、うんうんと頷いた。