「ねぇ、紫苑。今週のお祭り行く?」 先生が「ちょっと、休憩しよう」と言って教室から出ていった頃合いを見計らって、あたしは紫苑に話しかけた。 「いかない。姫は?」 「いかないよ。あたし、彼氏いないから」 「だね。俺も彼女いないから」 紫苑は机に肘を突いて、体をねじる様にして隣に座るあたしを見つめる。 茶色い瞳が自分に向けられてるって思うだけで、未だにドキドキしちゃう。