キスフレンド【完】


「理子は多分、紫苑君と出会って変われたんだ」


洗い終わった皿をお母さんに渡しながら微笑む理子。


こういうの……いいな。


目の前には、ずっと俺が望んでいた家族の温もりが溢れていて。


「昨日は理子とケンカでもしたのかい?久しぶりに帰ってきたと思ったら、ずいぶん落ち込んでいたようだから」


「俺が悪いんです……――」


なぜだか自分でも分からない。


でも、不思議と口から零れ落ちた言葉。


自分の過去、それに家庭環境。


そんな話をされても理子のお父さんは困惑するだけ。


俺に幻滅することはあっても喜ぶことはない。


頭では分かっているのに、俺は話し続けた。


同情をしてほしいわけでも、慰めてほしいわけでもない。


ただ、全てを正直に話した。