キスフレンド【完】

【理子side】


「……いない……」


アパートの中に紫苑の姿はなかった。


シーンと静まり返った部屋の中に入ると、なぜか急に寂しくなって。


この部屋の中にいても寒くないのは、紫苑がいつだってあたしの隣にいてくれたから。


あたしの手を握りしめて温めてくれるから。



「……――ねぇ、紫苑。あたしやっぱり……紫苑がいないとだめだよ……」


距離を置くなんて無理だよ。


フローリングの床に座り込んで涙を流す。


「うっ……っ……うぅっ……」


込み上げてくる嗚咽に息ができなくなる。


こんなにも苦しいのは、紫苑のことがそれだけ好きだっていう証拠。


こんなにも、こんなにもあたしは紫苑のことが……――。



「……――り……こ?泣いてんの……?」


ふと頭の上から降ってきた大好きな人の声。


まさか……――。


恐る恐る顔を持ち上げると、心配そうにあたしの顔を覗き込む紫苑が立っていた。