【紫苑side】
「……――紫苑?どうしたんだよ、急に」
チャイムを鳴らすと、すぐに海斗が扉から顔を出した。
そして、俺の手荷物を見るなり眉間にしわを寄せた。
「……――で、うちに泊まらせてくれなんてどういう風の吹き回し?」
冷えた缶ビールを俺に差し出すと、海斗はドカッと床に腰を下ろした。
俺はそれを受け取り、礼を言ってプルトップに指をかける。
「まぁいいじゃん」
「よくねぇよ。理子ちゃんどうすんだよ」
「さっき、実家に帰るってメールがきたから」
「お前ら喧嘩でもしたの?珍しいこともあるもんだな~」
「……そういえば、理子と喧嘩したのこれが初めてかも」
海斗に言われてようやく気づいた。
理子と付き合ってから、こんな風に喧嘩をしたのは初めてだった。
理子がああやって声を荒げたことも……――。
「で、原因は?」
「俺」
「ハァ?何。もしかして、浮気でもしたのか?まさか……美波さんと……――」
「違う。そんなんじゃない」
「じゃあ、何だよ」
缶ビールを口に含むと、俺は今までのことを海斗に話した。



