キスフレンド【完】

「……――もういい!!あたしは紫苑に何でも話してるのに、紫苑はあたしに何も話してくれないんだね?」


紫苑はあたしが毎日どんな気持ちで過ごしているのか、全然分かってくれない。



「あたしにとって紫苑は家族以上の存在なのに……――」


紫苑とあたしには血の繋がりなんてない。


だけど、そんなの関係なくて。


あたしはそれくらい、紫苑のことを大切に思っているんだよ……――?


そう伝えたかったのに、紫苑は意外な反応を示した。


「家族以上……?何それ」


「……――紫苑?」


フッと笑った紫苑の表情。


顔は笑っているのに、目は笑っていない。


それは以前、お母さんが出て行ったと淡々と話した時と同じで。


「本当の家族のいる理子に、俺の気持ちなんて絶対にわかんないから」


ギュッと拳を握りしめながら、まっすぐこちらを見つめる紫苑。


「……俺達、少し距離を置こう」


紫苑はそう言うと、あたしを廊下に残してリビングに消えた。


その後ろ姿に胸がギュッと締め付けられて。


「……――っ」


あたしは紫苑に気付かれないように、そっと零れ落ちる涙を手の甲で拭った。