『そんな家庭環境で、理子ちゃんを幸せにできんの?』 菊池のその言葉が何度も頭の中で繰り返される。 口にはしないけれど、心の中でずっと憧れていた。 家族というものに……。 だけど、自分には家族がいない。 正直、菊池が羨ましかった。 仲のいい両親。何不自由ない暮らし。 そんな菊池を羨んでひがんでいる自分があまりにも情けなくて。 それに、惨めで。 「……くそっ」 俺は玄関先に座り込み、髪をクシャッといじった。