キスフレンド【完】

「理子に何か用?」


「……――わっ!!ビックリした!!」


背後から声をかけると、男はビクッと体を震わせた。


「紫苑……」


男同様、理子も驚いた表情を浮かべている。


俺のことを上から下まで舐め回すように見つめると、男は「あっ」と声を漏らした。



「もしかして、理子ちゃんの……彼氏?」


「そうだけど」


「やっぱりそうなんだ~。話は聞いてるよ。俺、理子ちゃんと同じ大学で仲良くしてる菊池って言います。よろしくね~」


「……それで、理子に何の用?」


ニコリと愛嬌のある笑みを浮かべる男。


菊池に何かされたわけじゃない。


むしろフレンドリーに話しかけてくるこの男に悪い印象なんて覚えるはずがない。


それなのに、腹の底から赤黒い感情が押しあがってくる。


今まで感じたことのないような感情。


その感情を抑えることがうまくできない。