「この指輪で十分だよ。紫苑が一緒にいてくれるなら、他には何もいらない」


何も欲しいものなんてない。


ただ、ずっと一緒にいてほしくて。



「……――理子、愛してる」


そう言ってあたしの頭を撫でながら柔らかい笑みを浮かべる紫苑。




愛はきっと、そばにいてと願ったりしない。


願わなくてもいつもそばにあるもの。