今まで味わったことがないくらいの幸せ。 あたしはそのキスにこたえるように、紫苑の首に腕を回した。 半年ぶりのキスは……めまいがしてしまいそうなくらい甘くて。 だけど、涙の味がしてちょっぴりしょっぱい。 ここが道路だっていうことすら忘れて、あたしは紫苑とのキスに溺れた。 「今度はちゃんとした指輪買ってあげるから」 唇を離すと、紫苑はそっとあたしの右手の薬指に触れた。 紫苑に買ってもらってから一度も外したことのない指輪。 肌身離さずつけ続けていた指輪はたくさんの傷が付いてしまった。