前から歩いてくる男の子……。


よく似てる。あたしの大好きな人に。


だけど、きっと今回も勘違いだ。


もう何十回と繰り返してるじゃない。


紫苑に似た人を街で見つけて、声を掛けそうになって。


振り向いた顔に何度溜息をついたことか。





「……――?」


でも、やっぱり似てる。


あたしと男の子の距離はもう5メートルもない。