「紫苑が一人の女にマジになるのって初めてじゃん?俺、なんか嬉しいんだよ」


「何で海斗が嬉しいわけ?」


「お前がずっと苦労してきたの知ってるから。だから……――」


一瞬言葉に詰まって目頭を指で押さえた海斗。


「……――もういい、早く行けって!!」


海斗はシッシッと俺を追い払うような仕草を見せる。



「分かった。でも、俺がいなくなってから泣かないように」


「ハァ!?泣かねぇよ!!」


「海斗、ありがとう。また連絡するよ」


俺は海斗にお礼を言うと、クルリと方向を変え、姫のいる学校に向かって歩き出した。