「海斗、ありがとう。半年かけて、ようやく決心が固まった。で、今どこにいんの?」
「あー、今?駅沿いの道歩いてる。なんで?」
「そっか。俺も。偶然だね。ていうか、海斗、髪伸びたね」
俺はそれだけ言うと、ピッと電話を切った。
「……――ハァ?なんなんだよ。勝手に切るんじゃねぇよ!!」
俺の前を歩く海斗は携帯を耳から離して、何やらブツブツと文句を言っている。
「海斗、久しぶり」
「……うぉっ!!なんなんだよ!!超ビビった!!」
俺の存在に全く気付いていない海斗。
早足で追いかけて海斗の肩をポンッと叩くと、海斗は驚いて目を見開いた。