それに、姫の俺への気持ちも何となく分かっていたから。 だから、あえて俺は何も言わずに姫の元を去ることにした。 姫は校内のアイドルだし、男が放っておくはずがない。 顔はリアルに現代のお姫様だし、性格だって悪くない。 姫にはこの先、きっといい男が現れる。 俺なんかよりもずっといい男に……。 姫の為を思って身を引いたくせに、 肝心の『さようなら』を言うことが出来なくて。 『またいつか会おう』と書いた手紙。 あの手紙は姫に届いたんだろうか……?