何となくそんな気がしていたけどやっぱり信じたくなくて。
「……――紫苑。ねぇ、紫苑!!いないの!?」
アパートの扉をドンドンッと叩いて紫苑の名前を大声で叫ぶ。
突然いなくなるなんて、ズルイよ。
キッカケをつくったのも、紫苑だよ?
『キミが噂の『姫』?』
そう話しかけてきたの紫苑でしょ。
あの時紫苑が話しかけてこなければ、きっとあたし達は何の接点もないままだったはずなのに。
こんなに苦しくなることも、悲しくなることも、寂しくなることもなかったのに。
こんなに……大好きになることも……――。
あたしの気持ちをこんなにもかき乱しておいて、突然いなくなるなんて……
そんなのズル過ぎるよ。