狭い路地裏に入ったところで足を止める。


「ハァハァ……」


目をつぶって呼吸を整えていると、背後からバタバタという足音が聞こえてきて。


え……?なに?


不思議になって振り返った瞬間、誰かに腕をグイッと引っ張られた。



「……――何で逃げてんの?」


抱きしめられた瞬間、甘い香りが鼻に届いた。


甘くて優しい……大好きな匂い。



「し……おん?」


耳元で感じる荒い息遣い。


もしかして……走って追いかけて来てくれたの?