呼吸が苦しくなっても、あたしはただ無我夢中で走り続けた。 走っている間だけは紫苑のことを考えずにいられるから。 紫苑はもう追いかけてきてはくれない。 分かっていてもやっぱり苦しくなる。 悲しくなる。 寂しくなる。 泣きそうになる。 最初から、こうなることは分かっていたはずなのに。 紫苑があたしを受け入れてくれることなんてないと頭では理解していたのに。 それなのに、いつしか淡い期待を抱いていた。 紫苑が受け入れてくれるかもしれないと。