キスフレンド【完】


ねぇ、紫苑。


あたし、意を決して自分の気持ちを伝えようとしたんだよ……?


ずっとずっと、胸の中で押しとどめていた想い。


伝えたくても伝えられなかったあたしの気持ち。


でも、紫苑はそれを伝えることすら許してくれなくて。


二人の間に漂う重たい雰囲気。



もう、あたし達はおしまいだ。


そう悟った時、ふいに涙が零れ落ちた。




「……姫?なんで泣いて……――」


紫苑はあたしの腕をギュッと掴む。


「ここじゃ人がたくさんいるし、場所変えよう」


「……――だ」


「え?」


「嫌!!離して……――!!」


受け入れられないなら、優しくしないで。


冷たく突き放して。


あたしは紫苑の手を振り払うと、勢いよく走りだした。