キスフレンド【完】


「365日、24時間は無理って意味」


「そういう……こと」


「どういう意味だと思った?」


「もうあたしの手を握ってくれないのかと思っちゃった」


ホッと胸を撫で下ろして紫苑に笑い掛けると、紫苑はどこか遠くを見ていた。


思いつめたような表情で。


その時、ふと道路の脇に出ている露店に気が付いて。


商品のアクセサリー類の前には数人の学生。


「見てみようか」


「えっ……?」


紫苑はあたしが答える前に、グイッと手を引っ張って歩きだした。