キスフレンド【完】


「あたしも……不安になるよ。人も動物もいつか絶対死ぬって頭では分かってるんだけどね……」


「だよな」


あたしは、シロの死と向き合うのがすごく恐い。


『死』っていうものが、恐くて堪らない。


お父さんを亡くしたあの日からずっと……――。



昨日まで普通に生きていたお父さんが、突然倒れて目をつぶったまま動かなくなって。


体を触るとひんやりと冷たくて。


目の前にいるお父さんが今にも『理子、何泣いてるんだ』って言いながら立ちあがりそうで。


いつもみたいに笑いかけてくれる気がして。



だけど、お父さんは二度とあたしに笑いかけてはくれなかった。