「だから今日、仕事を休んだんだよ。メールや電話で伝えきれないくらい大切なことだから」 押し殺した声でそう言ったお父さんの声はほんの少しだけ震えていた。 「大切なこと?」 「そうだよ。理子ちゃんは僕の大切な家族であり、大切な娘だからね」 さっきまでとは違って冷静にそう言うお父さん。 柄でもないのに……無理しちゃって。 だけど、そういうところも嫌いじゃない。 ううん、むしろ好きなのかも。 お父さんの言葉が胸に温かく染み渡る。