身ぶり手ぶりで話し続ける先輩に、紫苑は小さく相槌を打っている。
絶対聞いてない。
紫苑の視線は先輩に向いているようで向いていない。
彼をジーッっと観察していて分かったこと。
紫苑は女の子にすごく興味がある様に見えて、まったく興味がない。
「ねぇ、理子。本当はさ、紫苑くんのこと好きなんじゃないの？」
「彼を好きになったって意味ないよ」
「紫苑くんが誰とも付き合わないから？」
「そう。永遠の片想いなんて、あたしには無理だもん」
だからといって、彼のセフレにはなりたくない。
好きだけど、好きになってはもらえない。
好きって伝えても、そこから先には何もない。
