「あたし、理子の親友の木下ナナです」 「姫の親友が俺に何か用?」 姫の友達は何故か俺から目を反らしたままそう言う。 仕方なく顔を覗き込むと、彼女は一瞬ビクッと体を震わせた後、俺からわずかに距離をとった。 「あたしは、紫苑君とそういう関係になるためにきたんじゃないから!!というか、誘惑しないで!!」 「ん?誘惑って?」 「ちょっ……!!あたしに近付かないで!!」 彼女に一歩近づくと彼女が一歩離れる。 面白くなって何回かそれを繰り返すと、俺と彼女は廊下の隅まで来ていた。