「姫って彼氏いるの?」


「えっ……?」


いつの間にかあたしをジッと見つめていた紫苑。


あたしはハッとして首を横に振った。


「いないよ」


「ふぅ~ん。意外。なんで?」


「何でって言われても……」


特に好きな男の子がいないから。


「欲求不満になんないの?」


「……え?」


欲求不満って……――。


紫苑は顔色一つ変えずに、動揺するあたしの首筋に指を這わす。