紫苑は身動き一つせず、女性を見下ろしている。 全てを諦めてしまったような目で。 「……これ、今月分。あんたの顔なんてもう見たくない!!」 女性が紫苑に向かって投げつけた封筒。 きちんと閉じられていなかったからか、万札が封筒から飛び出して地面にヒラヒラと落ちた。 その様子をただ呆然としながら紫苑の横で見つめていたあたし。 紫苑は去っていく女性の後ろ姿を見つめて「ハァ」と小さな溜息をついた後、ゆっくりと腰を下ろして地面に散らばったお札を拾い始めた。