「……――ああ、もう一人いたんだっけ」 だけど、あたしの心配は無用だったみたい。 紫苑は背後から迫る男の拳をヒョイと交わすと、男のわき腹に蹴りを入れた。 今度はさっきよりもっと鈍くて重たい音がした。 「……っううぅ……――!!」 わき腹を押さえて顔を歪める男。 返り討ちにされるとは思っていなかったのか、受け身をとっていなかったらしい。 男達は悔しそうにその場を後にした。