「さっき姫の肩に腕回してたのってアンタだっけ?」 「……テメェ、さっきから何なんだよ!!」 「姫に触っていいのは、俺だけなんだよね」 紫苑の低い声と同時に、ゴンッという鈍い音が辺りに響き渡る。 その音の後、さっきまで声を荒げていた男は地面に尻餅を突いていた。 その鈍い音は、紫苑の拳が男のアゴにぶつかった音で。 殴られた男は放心状態のまま、紫苑をぼんやりと見上げている。