キスフレンド【完】


あたし……からかわれてたんだ……。


そう気付いて、少しだけ気持ちが落ち込む。


だけど、それ以上に彼の笑みを間近で見れたことに喜びを感じていた。



「ね、姫。姫って本当のお姫様みたいだね?」


「え?」


「みんな、姫のこと可愛いって言ってる。モテるでしょ?」


みんな可愛いって言ってる……?


でもきっと、その『みんな』の中に……紫苑は含まれていない。



「そんなことないよ。それを言うなら、紫苑の方がモテるでしょ?」


「ん、そこそこね」


「否定しないんだ……?」


「しない」


聞き返したあたしに紫苑はフッと笑って答えた。