「ねぇ、姫」 「なに……?」 「俺が優しくするのは、姫だけだよ。これからもこの先も」 こうやって、キスをするのも。 姫だけだから。 「紫苑はやっぱり意地悪だね」 その言葉を最後に、姫は何も言わなかった。 小さなベッドの中で俺と姫の体温が甘く溶け合う。 心地良くて、気持ちいい。 女とセックスを抜きにしてベッドに入ったのは、これが初めてだ。 しばらくすると、姫の寝息が耳に届いて。 俺は冷たい姫の手をギュッと握りしめた。