その時、ひんやりとした姫の手を頬に感じて、思わずその手を掴んだ。 「寒い?クーラー消そうか?」 「ううん、大丈夫。あたし、冷え症だから」 「姫らしいね。暖めてあげようか?」 「紫苑って、誰にでもそういうこと言うんでしょ?」 俺の手を振り払う姫。その声は少しだけ不機嫌そう。 「言わないよ」 「嘘。絶対に言ってる」 姫はそう言うと、クルッと俺に背中を向けた。