キスフレンド【完】


「あたしね、居場所が欲しかったの。今の家に……自分の居場所が見当たらないから」


姫の体が小刻みに震えている。


俺は小さなその体をギュッと抱きしめた。


「居場所なら、ここにあるだろ。俺と姫とシロの居場所はここだから」


姫がいらない子なら、俺はもっといらない子だ。


このアパートに一人捨てられて、置き去りにされたんだから。


シロだってそうだ。


心ない飼い主に捨てられて、命を奪われそうになった。