「……――ッ!!」
「何か塗ってんの?」
「……塗ってないけど……」
彼の指が唇に触れた途端、心臓がドクンッと音を立てた。
全身が熱くなって、胸に何かが込み上げる。
心臓の音が紫苑に届いちゃいそうなくらい大暴れしている。
「綺麗。キス、していい?」
口の端をクイッと持ち上げて笑う紫苑。
そんな彼から目が離せなくて。
二重の透き通った茶色い瞳にあたしが映ってる。
見つめられると、吸い込まれちゃいそう。
その瞳……反則だよ。
あたしが紫苑に見惚れていると、
「嫌だって言わないんだ?」
彼はクスッと笑って、空を見上げた。



