家出同然のあたしに気付いていながら何も言わない紫苑。


何も聞いてこようとしないし、詮索したりもしない。


きっとそれが紫苑の優しさ。


でも、あたしに何かがあったってちゃんと分かってくれてる。


『姫、辛かったね。もう大丈夫だよ』


紫苑のキスは、あたしをなぐさめるように優しく包み込んでくれる。


ああ、やっぱり流されよう。


このまま、どこまでもどこまでも。


辿り着く場所は分からないけれど……。


紫苑の首に腕を回すと、紫苑は再びあたしの唇を奪った。